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「人として生きていくのに大事な事は何ですか?」

 20年以上も昔、京都御本山の同朋会館にて「あなたにとって大事な事は何ですか?。」と尋ねた問いに、多くの方が、金・健康・家族・友人・仕事・趣味・・・・・と答えられた事を思い出します。それでは今、次の問いに「人として生きていくのに大事な事は何なのだろうか?」と。皆さんお一人お一人はどの様に答えられるのでしょうか?

 宮城 顗先生の本の中に、漢字の世界的権威である、白川静先生が「植物には生はあるが、命はない。」と申されたそうです。植物のところには、祈るとか、誓うとか願うと言う事がないと、言うなれば精神的な営みは植物には無く、生の尊さは同じなのだけれども、命という言葉の厳密い言えば人間にしか無いのだと。そして、「命」の字の成り立ちは、神仏にひざまずいて祈り・願い・誓いをする人の形を表し、つまりは人間の命の本質というものは、祈るとか、願うとか、誓うとかというところにあるのだと、そういう営みの中に人間の命の本質があり、命という言葉にはそういう事を象徴していると言われてくるのです。

 先の「あなたにとって大事な事は何ですか?。」の問いに金・健康・家族・友人・仕事・趣味・・・・・という答えとは違いを感じます。無論、祈るとか誓うとか願うと言う事が利己的なものであってはならない事は言うまでも無い事です。 

 改めて問います、「あなたが人として生きていくのに大事な事は何なのだろうかと?」

妙樂寺 金丸和張